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『ブレイブルー クロスタッグバトル』森Pインタビュー「作品を超えた掛け合いを楽しんでほしい」

本記事では『BBTAG』のプロデューサーを務めた森利道氏に、企画成立の経緯や作品としての魅力、『BBTAG』で導入した新要素の狙いなどを語ってもらったインタビューをお届けする。


▲格闘ゲームファンには”森P”の愛称で知られる、『ブレイブルー』シリーズ総合プロデューサー 森利道氏

意外とすんなりまとまった!? 4作品のクロスオーバー

――まずは『BBTAG』という企画が起ち上がった経緯から教えてください。

 企画は2年まえぐらいにスタートしたのかな? 『ブレイブルー セントラルフィクション』でラグナをメインとした『ブレイブルー』がお話的にもひと段落して、ちょっと新しいことがしてみたいとなったわけですよ。そこで昔からやってみたかった、タッグものの格闘ゲームを作ろうと思いました。

ただ『ブレイブルー』のキャラだけでタッグものをやると、ファンの人は「それだったら正当な続編を出してよ!」って思うだろうし、どうせやるんだったら面白い形でやってみたいなと思いまして。

そこでまず声をかけさせてもらったのが『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』(以下、『P4U』)でお世話になったアトラスさん。最初はアトラスの和田さん(『ペルソナ』シリーズのプロデューサー)とたまたま飯を食ってるとき、「タッグものの格闘ゲームをやってみたい」って話をするってところからスタートしたんですけどね。

『アンダーナイト インヴァース』(以下、『UNI』)に関しては家庭用をウチで出させていただいていることもあった縁ですね。フランスパンのなりたさん(『UNI』の開発元、フランスパンの代表)に話を持っていったら、全然かまいませんよと快諾していただけて。

 で、残る3Dアニメの『RWBY』が参戦したのはなぜ?って思う人も多いですよね (笑)。

これは元々僕が『RWBY』が大好きだったのが大きいです。日本で話題になる前から英語版のDVDを輸入して観てたぐらいで。そういう話を海外のメディアなどで話していたら、それがRooster Teeth(『RWBY』の制作スタジオ)の人たちの目に触れたみたいで、日本やアメリカで直接話せる機会が何度か持てたんです。

そこで『BBTAG』の話をしたらすごい乗り気で受けてくれて。「技名は全部俺たちに決めさせてくれ!」ってぐらいノリノリでしたね。


▲「技や動きのコンテは全部渡してチェックしてもらった」という『RWBY』のキャラクターたち


――キャラクターの選考はどういう形で行なったのでしょうか?

 人気的にも作品を代表する存在としてこの子は外せないよねってキャラはもちろん選んでいますけど、今回は『BBTAG』のシステムにマッチしそうな個性を持っているキャラを、ある程度意識して選出しています。あと他社さんのキャラクターに関してはもちろん相談のうえで選んでいます。

――『BBTAG』のシステムにマッチしたキャラクターを選んだということですが、具体的にはどういう風な作業を経て完成していったのでしょうか?

 『BBTAG』は必殺技のコマンドをはじめ、基本的な操作は全キャラ同じになっています。ただ操作方法は同じでも動かし方はキャラによってまるで違います。同じ操作性の中に今まで積み上げてきたキャラクターの個性をどう落とし込むかの作業がすごく大変でしたね。そこは開発スタッフがすごくがんばってくれたので、うまくいってると思います。操作方法は簡略化されているけど、格闘ゲームで言うところのいわゆる”立ち回り方”はキャラごとに個性が出ていると思います。

――『ブレイブルー』、『P4U』、『UNI』、どのキャラも元の作品から攻撃ボタンがひとつ減っているという感じですよね。

 そうですね。僕自身がボタンを多くしたくないっていうのがあるんですよ。増やせば増やすほどわけがわかんなくなっちゃうので。今回はできる限り覚えることは少なく、やれることは多くっていうのをコンセプトにしています。

――『RWBY』に関しては元々格闘ゲームだった3作品とは違う難しさがあったと思うのですが。

 PVで見たキャラクターの印象と動かしたときの印象を極力同じにするのを意識しました。これはもう仕様書段階もそうだし、コンテを描く際もですね。最初に作ったルビー・ローズはリテイクが多かったですが、『RWBY』らしさのすり合わせが進んでいってからはスムーズでしたね。ワイス・シュニースからは楽になりました。

各種ゲームモードの詳細に迫る!

――ゲームモードに関する質問に移らせてもらいたいのですが、アークさんの格闘ゲームにはストーリーモードの充実もファンに求められている要素のひとつだと思います。『BBTAG』のストーリーのボリュームはどれぐらいですか?

 今回は12~13時間ぐらいですね。僕はいままでの『ブレイブルー』と同じぐらい、20~30時間ぐらいあっててもいいかなと思ったんですけど、周りのスタッフから止められまして(笑)。

今回は4作品それぞれが基準になるストーリーがあって、『ブレイブルー』を選べばラグナたちを、『RWBY』ならルビーたちが中心のストーリーを進めていく……という形で、4ルートすべてを遊んでもらえれば真相にたどり着ける……と、そこら辺はお約束な形になっています。

いままでと違うのはバッドエンドというか、BLAZBLUEシナリオのみいくつかのifエンドが存在します。

――ifエンドは途中の選択肢の選び方で発生していく感じでしょうか?

 はい。それでエンディングが変わっていきますね。選択肢でどのパートナーと組んで戦うかとか、そういう変化も生まれます。

ただ今回は勝ち方によってシナリオが変わる、負けると別のシナリオへ行くっていうのはないです。『ブレイブルー』時代にあまりにも不評だったのでなくしました。選択肢を選べば大丈夫なようになっています。

 

 あと今回はストーリーのプレイ時間を減らしたぶん、戦闘まえのかけ合いや勝ちセリフは充実させてキャラの魅力を表現しよう!という方向になっています。これに関してはウチのディレクターの石川がやりたいってことで、かなり力を入れました。なかなか大変でしたけど。

――オープンベータテストで遊べた20キャラの組み合わせでも相当数のかけ合いがありましたよね。全40キャラがそろうと、とんでもない数なんじゃないですか?

 最初の20キャラの時点で100は超えていたんじゃないかなぁ。1キャラにだいたい5種類は特殊なかけ合いが用意されてるはずなので。ボイスの収録がめちゃくちゃ大変でしたからね(笑)。かけ合いだけで何ページあるんだろうって。


▲ルビー・ローズやゴルドー、千枝やマコトといった、作品の枠を超えたかけ合い、演出が数多く用意されているのも『BBTAG』の魅力のひとつ

――タクティクスモード、トレーニングモードの項目が充実しているのもアークさんの格闘ゲームの特徴だと思いますが、『BBTAG』もそこは踏襲している?

 そうですね。ベータテストには対戦そのものを遊んでもらいたかったので選べませんでしたけど、製品版ではいろいろ試してください。今回は1回トレーニングモードに入ればメニューの中でパートナーのチェンジなどすべてを完結できるようになっていますので、快適さは上がっていると思います。

――トレーニングモードの項目に増減はないと?

 これまでの『ブレイブルー』でできたことはだいたい全部できるんじゃないかな。逆にもうちょっと直感的にトレーニングできるよう、内容を精査したほうがいいんじゃね? っていう話をしたぐらいで。

このゲームはタイトルから『ブレイブルー』の続編であるというイメージも強いですけど、あまり格闘ゲームを触ったことのない人にも楽しんでほしい、難しい操作を覚えなくてもいいっていうコンセプトで作っているので。

――今回はトレーニングモードやチュートリアルだけでなく、ゲームそのものの雰囲気もかなりカジュアルな雰囲気に寄せてるなと感じました。

 そこは狙ってやっています。あらゆる要素をできるだけ直感的にしたい。ロビーなんかもそうで、入った瞬間から楽しい感じにしようと、ちびキャラをワラワラ動かす形にしています。


▲『BBTAG』のロビー画面。プレイヤーが操作するちびキャラは変更可能
 

 格闘ゲームを知らない人がゲームをスタートしてゲームモードがバーッと並んでいるメニュー画面を見ても「楽しそう!」とは直感的には思えないじゃないですか。

もちろんこのゲームを購入してもらったらオンラインロビーに行って対戦も楽しんでほしいんですけど、ちびキャラをワーッと動かすのもひとつの遊び方だと思うんですよ。カジュアルロビーはコミュニケーションの場所でもあるので、その辺はみんなで楽しくやっていただけるとうれしいなと。

わかりやすさを最重要視したゲームシステム

――ここからはゲームシステムの話に移りたいと思います。『BBTAG』は攻撃ボタンの減少、必殺技コマンドを絞る、レバーを倒すだけで前ダッシュなど、格闘ゲームの基本といえる部分にかなり大胆な簡略化が施されています。これは遊びやすさの向上をめざしたものだと思いますが……。

 まさにおっしゃるとおりです。

――『BBTAG』はこういう仕様でいこうと決まって、そこから開発で困ったことはありますか?

 まずいまのシステムに落ち着くまでにめちゃめちゃ揉めましたよ! システムに関してはスタッフみんなで検証してから採用するかどうか決めているんですが、僕の案はけっこう却下されてます(笑)。

例えばオートガード、それが無理ならボタンガードを入れてほしいって僕は頼んだんですけど……。

――ボタンガードですか!? 2Dの対戦格闘ではかなり珍しいですよね?

 格闘ゲームを知らない人は、レバーを後ろに入れてガードっていうのはピンとこないと思うんですよ。僕の主観ですけど、ひとつの入力方法にふたつの意味を持たせるのって本来はわかりにくくするだけかなと。レバーを後ろに入れると後ろに歩くのは普通じゃないですか。格闘ゲームはそこにガードをするって意味を持たせている。

――ずっと格闘ゲームをやっている人間にとっては当たり前ではあるけれども……。

 そうです。だったらガードをボタンに割り振ったほうがいいんじゃない?って話になったんですけど、今回はわざわざ攻撃に使うボタンを減らしてるのに、別のボタンを増やすのは違うんじゃないか、ここは2D格闘ゲームの様式美を尊重したほうがいいという結論になって、オートガード、ボタンガードに関しては見送りました。

逆にほぼ満場一致で決まったのは前ダッシュですね。レバーをつねに2回入力するのは難しい、1回でいいでしょって。


▲『BBTAG』は「通常のゲームパッドでも遊びやすい」操作性も意識しているという。ダッシュの簡略化や、いわゆる”昇龍拳”コマンドが存在しないのもその一環といえる
 

――導入が決まった後、実際にシステムを入れて調整する際に苦労した点はありますか?

森 そっちもいろいろありました。元の作品で持っていたキャラ固有のアクションをどう入れこむかは、かなり試行錯誤しましたね。どう調整すれば元の作品で持つキャラクター性っていうものをしっかり出せるか、そこは開発陣がかなりこだわって作ってくれました。

――今回1キャラクターを操作する難易度はかなり低めに抑えられていると思うのですが、逆にパートナーを使った動きはバリエーションが豊富ですよね。パートナースキルが3つあったり、スキルを出した直後にそのまま交代できたり。これは格闘ゲームに慣れている上級者はパートナーを使った攻めで違いを作り出してくれという意図があるのでしょうか?

 まさにそのとおりです。パートナースキルの使い勝手って、タッグの組み合わせでものすごく変わるんですよ。先ほどから言っているように、キャラクターが元々持っている個性はしっかり残っていて、そういう個性のあるキャラをふたり選んで戦う。しかもその組み合わせで戦略も全然変わってくるゲームなんです。

使いたいキャラのベストパートナー探し、ベストなタッグ探しっていうのは大変だとは思いますけど、格闘ゲーマーの人にとっては楽しみのひとつになっていると思いますね。


▲スキルゲージを使って繰り出す、ディストーションスキル・デュオの使い勝手もタッグの組み合わせによって大きく変わる

 タッグものの格闘ゲームの宿命として最終的には強い、”鉄板”な組み合わせって決まっちゃう可能性はありますけど……そこはただでさえ個性が強いキャラがそろっているゲームなので、この組み合わせとこの組み合わせ”だけ”が最強というような状況にはならないようしたつもりではあります。

そのあたりはベータテストでわかったことや発売後の状況も追って、改善すべきところには手を入れていきます。

――ベータテストは参加者多かったですね。あとみなさん期間中にすごくやり込んでいたように思います。オンラインロビーに行くと数百戦~1000戦以上プレイしている人がザラにいて。

森 どんだけやったの!?って思いますけど、今回は1試合のペースがすごい速いじゃないですか。今回はとにかくテンポよく、気持ちよく遊ばせたかったんです。

遊び方はユーザーさんそれぞれですけど、とりあえずオンライン対戦はどちらかが2試合先取すればいったん終わるので、1試合目で負けてももう一度戦いたかったら再戦希望を押して、1ミリも勝てる気がしなかったらそのまま解散。これが精神衛生上的にいいと思います。

――ベータテストをやらせてもらった感想としては、これまで初心者向け、遊びやすいと言われてきた格闘ゲームはいくつかあったと思うのですが、『BBTAG』は本当にそういったキャッチコピーをつけても偽りがないゲームになっているのかなと思います。

 ただ僕は初心者向けって言葉はあまり好きじゃなくて、興味を持った人が遊びやすいゲームにしたいと思って『BBTAG』を作ったんですよね。お祭りゲーって(揶揄気味に)言われてますけど、それでいいじゃんって。

今回のベータテストに関しては、僕が見た限りだと普段格闘ゲームを遊んでいない方にも遊んでもらえたみたいなので、とりあえずよかったです。

あと格闘ゲームの中級者っていうんですかね、ふだんちょっと格闘ゲームを触ってる人たち、そこにいい感じに刺さってくれたのかなっていう気はしています。

――自分がまさしくそういった中級者層だと思うのですが、ベータテストはろくに練習せずにスマートコンボとリバーサルアクションの”ぶっぱ”で勝ったり負けたりできて楽しかったですね。

 どこかで石渡さん(※『ギルティギア』ゼネラルディレクター)も言ってたかもしれないですけど、あまり格闘ゲームツールツールする、競技性を全面に押し出すeスポーツ的な方向性だけだと、これから格闘ゲームをやりたいなって人が入りにくい可能性があるじゃないですか。まずゲームを楽しんでくれる人をしっかり育てないと次がない。

今格闘ゲームをやる人たちだけが盛り上がって、その人たちがいなくなったらハイ終わりっていうのは……。言ってしまえば格闘ゲームもおもちゃのひとつなので、「この遊びはなんだかわからないけど楽しい!」って感じられる人を増やす土壌を作りたいんです。

 あと『BBTAG』ではウチのゲームを買ってくれる大多数の人、先ほど話に出た格闘ゲーム中級者の幅を広げたいというのは意識して作っています。『ブレイブルー』や『ギルティギア』は段位がひとつふたつ違うだけでも勝敗に差が出る。同じレベルで勝ち負けができる範囲がすごく狭いんですよ。でも『BBTAG』はそうならないバランスにしています。中級者が勝ち負けできる幅を広げたんですよ

例えばいままでは格闘ゲーム歴3年と1年の人間が戦ったらほとんどのケースで3年の方が勝ってたのを、今回は1年の人も勝てるようにしています。3年の方の人はそこで正直ムカつくとは思うんですけど、そのぶん同じレベルで遊べる人は増えてるはずなんです。

――中級者層で対戦すれば勝ちすぎず負けすぎずのバランスになっているということですね?

 そうです。はたから見たら事故死で決着が着いたように見えるかもしれません。でもその代わり勝ったり負けたりできる相手は増えているんですよ。だからいいじゃん! それを楽しんで!って(笑)。

ただ取っ掛かりになる部分があるからといって、『BBTAG』が底の浅いものになっているとは思っていません。先ほどから言ってるタッグの組み合わせとか戦略性は(研究が進んだりキャラクターが増えて)どんどん深くなっていくと思いますし。競技性が皆無かって言われたら十分にあると思っていますので。

最初の入り口だけはできる限り低くわかりやすくしたつもりです。操作を簡単にするのは簡単なんですよ。でもわかりやすくするっていうのは難しいんですよ。簡単とわかりやすいは全然違うものなので。

『BBTAG』は格闘ゲームに興味がある人にわかりやすく魅力を説明したいという意図で作った部分があるというのは、ご理解していただきたいなと。

――今日は長時間ありがとうございました。では締めとして、『BBTAG』を楽しみにしているユーザーさんにひとことお願いします。

 このゲームは格闘ゲームの楽しさを再認識してもらいたいっていう気持ちで作っています。とにかくみんなで楽しく遊んでほしいっていう想いを込めていますので、できればそれがみなさんに伝わればうれしく思います。ぜひ買ってください!


『ブレイブルー クロスタッグバトル』公式サイト

© ARC SYSTEM WORKS ©ATLUS ©SEGA All rights reserved. © FRENCH-BREAD © 2018 Rooster Teeth Productions, LLC.

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