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『戦場のヴァルキュリア4』ディレクターインタビュー。気になる新要素や7年分の裏話も!?

開発のキーマンに訊く最新作の気になるあれこれ

『戦場のヴァルキュリア3』以来7年振りのナンバリング新作として2018年3月21日にPlayStation4で発売(Nintendo Switch版は2018年夏発売予定)される、セガゲームスのアクティブ・シミュレーションRPG『戦場のヴァルキュリア4』。

配信中の序盤体験版の評価も高く、ファンから大きな期待を寄せられている本作だが、7年間の沈黙の理由や注目ポイントについて、開発のキーマンである山下浩平ディレクターにお話を伺った。

気になるストーリーや、“擲弾兵”などの新要素、シリーズの原点である『戦場のヴァルキュリア』(以下『1』)の開発エピソードなども飛び出すことに……。


▲セガゲームス・山下浩平ディレクター。第1作『戦場のヴァルキュリア』のオリジナルスタッフで、BLiTZの産みの親でもある

リマスター版でつかんだ“最後のチャンス”

――7年振りのナンバリングタイトル新作になりますが、そもそも今回、どういった経緯で開発が決まったのでしょうか?

山下 まず、われわれ開発陣が据え置き機で改めて『戦場のヴァルキュリア』を作りたい、と思っていたんですよね。苦労したぶん思い入れもありましたし、やりたいこともありましたから。

ただ、なかなか開発のゴーサインが出なかったんです。2作目、3作目は携帯ゲーム機へ時代の流れが移行していたこともあって、PlayStation Portableで出させていただきましたが、いつかは据え置きでもう一度やりたいと思っていました。ファンの皆さんからも「据え置き機でやりたい」という声をいただいていたので、何回も企画書を出したりしてずっと機会をうかがっていたんです。

チャンスが来た、と思ったのは『戦場のヴァルキュリア リマスター』が出ることになったときですね。国内のみならず、海外のユーザーさんからも注目されていると聞いて「これは(新作開発への)風が吹く」と。まだ発売まえのタイミングでしたが、このチャンスを逃すまいと新作の企画書を作り始めました。

――売れると確信していたんですね。

山下 売れなかったら仕方がない、とあきらめるつもりでした(笑)。しかし予想どおり売れてくれたので、その数字が出た瞬間、風が一番吹いている瞬間に企画書を提出することで、承認してもらうことに成功したんです。

リマスター版の発売にあわせて、「これが最後のチャンス」と思って賭けに出て、成功した形ですね。これ以上ないタイミングでした。

――PlayStation 4が世界的にセールスを伸ばしているのもポイントだったのでしょうか。

山下 そうですね。とくに北米欧州でリマスター版が売れてくれたのは、そんな事情も後押ししてくれていたと思います。だからといって、『ヴァルキュリア4』はそれらの地域に媚びた内容にはまったくしていません。あくまで国内で支持されるようなものにしたつもりです。

『1』もヘタに海外を意識して作っていたら、国内でも海外でも失敗していたと思います。実際、意識しようと思ってもわれわれは海外ユーザーさんの機微などはわからないですから。ゴリゴリの太い首のマッチョたちが戦場を闊歩する……みたいになっていたかも(笑)。


▲細身の美女が巨大な武器を振り回して戦う、という世界観は、日本のファンタジーならではの魅力か

――(笑)。媚びないこともそうですが、今回はどういった内容のコンセプトで制作を進められたのでしょうか?

山下 まずは“原点回帰”ですね。私は『1』のオリジナルスタッフのひとりでもあるのですが、もともと『1』は『ワールドアドバンスド大戦略』シリーズを作っていたメンバーがいたこともあって、ゴリゴリのミリタリーものにするつもりだったんです。

それが紆余曲折あってだいぶライトな路線に舵を切ることになったのですが、本格志向であったことは間違いありません。

それがさらに『2』、『3』で携帯ゲーム機向けのライトなユーザー層を意識して作ったこともあって、ミリタリーテイストを少し弱めて学園ものだとか、特殊部隊のような要素を取り入れてみたりしていました。

今回、もう一度据え置き機でやれるということで、『1』のようなテイストを目指すことにしました。ストーリー中には戦場での空気感だとか、きびしい現実も描かれています。あとはバトルのシステム“BLiTZ(ブリッツ)”の見直しにもだいぶ力を入れたつもりです。

――原点回帰を目指しつつ、新たな肉付けをしていったと思うのですが、『4』ならではの特徴というのはどんなところなのでしょうか?

山下 舞台が変わったのは大きなところです。これまではガリアという小国を舞台にしてずっとやってきたのですが、今回はマップも広くなったし、スケールを大きくして描きたいという想いがあったので、大戦のメインのところを描くことにしました。シナリオのボリュームも相当なものになっていますよ。

――体験版も、2章までですが3時間くらいは遊べる内容になっていましたね。

山下 今回は『1』と同じくらいの章立てにはなっているのですが、1章につき戦闘が2回あったり、『1』にはなかったサブキャラクターの断章もあるので倍くらいにはなっているのではないでしょうか。

――サブキャラクターの断章は、ひとりひとり入っていたりするのでしょうか。

山下 さすがにそれをやると数がとんでもないことになるので、グループごとに用意する形にしています。それでも相当な数とボリュームになっていますね。本編だけひととおりクリアするまでだいたい60時間近くはかかると思いますが、クリア後のやり込みなども全部やろうとすると、100時間以上は優に楽しめるはずです。

――周回要素もあったりしますか?

山下 今回は周回要素は入れていませが、クリア後のやりこみ要素や高難易度ミッションなどで十分楽しめるものに仕上げています。トロフィーも時間がかかるものはありますが1回のプレイで全部取れるようになっています。

クロードは苦労人

――ここからはゲームの具体的な内容を伺っていきたいのですが、今回のストーリーはどんなテーマになっているのでしょうか?

山下 今回のストーリーは“成し遂げる意志”というテーマで描きました。モデルとしたのは第二次大戦のいわゆる“東部戦線”で、調べてみると犠牲者も多くて、一説によると太平洋戦争の比ではない数の犠牲者があったと言われているほど、激しい戦いがくり広げられた場所でもあります。

そんな中、敵国の首都を目指して突き進んだ兵士たちは、寒さや飢えなどに耐えながらどんな思いで進んでいったのかを描きたいと思い、このテーマを掲げたというわけです。

――過酷な行軍をともにする仲間たちですが、主人公の部隊の4人は幼なじみという設定ですよね。

山下 戦争では、出身地別に部隊を組むことはよくある話なんです。一方で、戦争によって運命が変わってしまったことを描く目的もあって、最初から主要人物たちをある程度親しい関係にするというのをあえてしている部分もあります。

じつは、これまでのナンバリング3作品で主人公たちの部隊の雰囲気はそれぞれ変えています。『1』は家族、『2』はクラスメイトというように。今回は“戦火の青春”のような部隊をイメージしました。戦争が身近にあった青春時代とはどんなものだったのだろう、そしてどうしても成し遂げたいものがあるとき、彼らはどう振る舞うだろうかと。若者特有の感性で目的に向かっていくさまを描いたつもりです。


▲部活動のような雰囲気を持つ、E小隊の面々

――序盤から、いろいろと気になる要素が出てきていますよね。クロードたちの細かい関係性などはとくに……。それらがどのようにして明らかになっていくのかは気になるところです。

山下 気になる方もいらっしゃるでしょうし、序盤からひとつひとつ説明していってもよかったのですが、ストーリーが進まないうちから説明ばかりされても困りますからね(笑)。イメージとしては、戦争映画のようにいきなり戦闘シーンから入って、ひとエピソード入れた後で、ゆっくりと説明していこうという流れにしています。

体験版では2章までプレイ可能ですが、じつは本編ではそのあと“断章”が挿入されます。今回の断章は、クロードたちの過去の話や帝国側の話など、本編とは違う視点からの話を描くものになっています。そこで、彼らの関係性の移り変わりも感じてもらえるのではないかと思います。

――優等生キャラに見えるクロードも、過去にいろいろなものを抱えていそうですよね。

山下 クロードは苦労人なんです。ダジャレみたいですけど(笑)。この先、さまざまな困難が部隊に降りかかってくるのですが、その中で彼にかかってくる責任はとても重いものがあります。

何度か押しつぶされそうになりながらも、歯を食いしばりながら必死に前に進もうとする彼を、応援してあげてほしいですね。

彼は、ウェルキンのように何があっても笑っていられたりする強さがあるわけでもなく、クルトのような天才でもない。極めて“ふつう”に近い性質の持ち主なんですよ。だから、ユーザーさんにとっては感情移入しやすい存在なのではないかと思います。

過去の主人公は皆“メゲない”強さを持っていますが、クロードはけっこうヘコむキャラクターなんです。


▲主人公のクロード。その過去にはいったい何が……?

擲弾兵導入は7年越しの悲願

――主人公の設定にも、新たな挑戦があるわけですね。さて、ここからはバトルについても伺いたいと思います。今回あらためて“BLiTZ”を設計するにあたって、どんなコンセプトがあったのでしょうか?

山下 もともと『1』で私の役割はバトル制作のリーダーだったんです。当初、上からの指示は「戦場っぽいシミュレーション考えて」というボンヤリとしたもので、それで作ったプロトタイプのデキがとにかくヒドいもので……。命令を入れたら見ているだけ、の硬派なシミュレーションになってしまい、私自身「やっちゃったなぁ」と思ったくらい(笑)。

更迭も覚悟したのですが、そこでもう一度チャンスがもらえることになって、あらためてアイデアを練り直しました。

昔から戦争映画が好きでよく観ていたのですが、そこから「気軽に銃撃戦を体験できるようなバトルを作りたい。FPSが苦手な人でも楽しめる戦場感と、細かい数値を気にしなくても楽しめるシミュレーションゲーム感を”いいとこ取り”したい」という着想を得て考えついたのがBLiTZだったというわけです。


▲『戦場のヴァルキュリア』でおなじみの“BLiTZ”。シミュレーションとアクションを融合させた、画期的なバトルシステムだ

――銃撃戦をシミュレートしたシステムは、すごく斬新でした。

山下 チャンスはもらえたのですが、一度失敗しているので最初はスタッフも懐疑的でしたね。そこを何とか作ってもらって今度はうまくいったのですが、そういう経緯があっただけに、そこまで時間をかけて作り込むことができませんでした。

BLiTZの構想にはもっといろんな要素があったのですが、それらを入れきれなかったのがずっと引っ掛かっていたんです。前述のとおり、『2』、『3』では携帯ゲーム機向けの新しいシステムを考える必要がありましたし。

――では、今回は7年越しの悲願だというわけですね。具体的には、どんなところが入れたかった要素なのでしょうか?

山下 擲弾兵や砲撃による迎撃などはそのひとつですね。じつは砲撃による迎撃は『1』でも”バグ”として出ていて、当時それを見て「これやりましょうよ!」なんて言っていたのですが、開発も終盤だったので「お前何言ってんの?」って(笑)。

周囲に爆撃があって土煙の中走って行く……というのは、まさに戦争映画のワンシーンのようで入れてみたかったんですよね。『2』や『3』でも擬似的には入れていたのですが、今回はユニットとして擲弾兵を入れて本格的に再現してみました。


▲敵の砲撃をかいくぐりながら進軍する、緊迫感溢れるバトルシーン

――とは言え、頭上から砲弾が降ってくるのは、ゲームでもなかなか恐ろしいものがありますね……。

山下 ただ、今回は屋根のある場所も用意していて、その下を移動することで上からの砲撃を防ぐことができるんです。なるべく道の真ん中を歩かず、狭い路地や道の端を移動することでリスクを避けるのも、戦争では常識ですからね。

――防御面での工夫がより求められるということだと思うのですが、攻撃に関してはどうでしょう? たとえば擲弾兵は、上方への攻撃は便利ですが、成長することで射程距離も伸びたりしないのでしょうか?

山下 擲弾砲はタイプごとに射程が決まっているので、射程距離は成長しません。アイテムを装備して少しだけ伸ばせるくらいですが、成長すると集弾率が上がっていきます。より狙いが正確になる、ということです。体験版だと少し当てづらかったかもしれませんが、最終的には百発百中になります。もし当たらなくても、爆風が広めに設定されているので、多くの敵を巻き込むことも可能です。

――でも、防御は変わらず弱いままなんですよね?

山下 特性上、防衛には向かない兵科ですね。動いている的には当てづらいですし。反対に、敵部隊にいた場合には、早めに潰しておかないと痛い目に遭ってしまうので優先して攻撃するといいと思います。

ちなみに、迎撃に関しては全兵科でいろいろと試してみたんですよ。ただ、迎撃を強くし過ぎると、それがプレイヤーにも跳ね返ってくるんです。そうなると、もうわけがわからない難しさになってしまうんですよね。

対戦車兵に関しては手を入れましたが、そのほかの兵科では基本的には『1』から変えていません。

――擲弾兵は体験版ではレイリィだけでしたが、数は増えていくのでしょうか?

山下 他の兵科ほど多くはなりませんが、追加の兵士も加わっていきます。今回、サブキャラクターは50人ほど用意していますが、その中に擲弾兵も何人か入っています。

――そのほかに変わった点はありますか?

山下 『1』との比較ですと、戦車のCPが1になったので使いやすくなったと思います。あとは、今回はとにかく支援兵が便利です。中盤からは必須なのではないでしょうか。蘇生ラグナエイドが標準装備になっているので、何かあってもすぐその場で蘇らせられるんですよ。だから、ほかの兵科とセットで行動させると攻略しやすくなると思います。


▲消費CPが1になって一気に使いやすくなった戦車や、弾薬補給や蘇生などで大活躍する支援兵の使いかたが攻略の鍵となる

――『1』のアリシアのような、エース級に活躍してくれるオススメのキャラクターはいないのでしょうか?

山下 あれほどわかりやすく強いキャラクターはいませんが、たとえばラズなどは自分で不死身と言うだけあって、新システム“ブレイブ”の発動率が高くてかなり強いです。今回、突撃兵そのものも移動に必要なAPが増えているので、使い勝手はかなりいいはずです。

――強さとは別に、個性的なサブキャラクターたちも『ヴァルキュリア』シリーズの魅力ですが、注目のキャラクターを教えてください

山下 思い入れのあるキャラクターは多いのですが、伏兵的な存在ではスタンレーというキャラクターがおもしろいです。いつもアメリカンジョークばかり飛ばしているような男なのですが、断章では意外な一面が見られます。

なお、今回はサブキャラクターたちも本編のイベントシーンに登場します。もしその時点で死んでしまっていても、ヘルメットを深く被った、いわゆる”モブ兵士”に置き換えるなどして無理なく表現できるようにしました。

――サブキャラクターに思い入れがあるプレイヤーにとっては、うれしい新要素ですね!

山下 地味な進化ですけどね(笑)。個人的には、いい仕事ができたなと思っています。

シリーズのいいところを集めた集大成

――イベントシーンの話が出ましたが、今回“CANVAS(キャンバス)”を軸にしたビジュアル表現に関してもハード性能とともにパワーアップしていると伺っています。どんなところが進化したのでしょうか?

山下 ビジュアルをアップグレードする、というのは今回の開発にあたっての大きなテーマのひとつでした。ただ、ビジュアルの高精細化に対して、CANVASという技術は手描き感を出すために逆に“情報量を間引く”ことで成立させているものであって、じつは矛盾した要素を持っているんです。

そのうえでどうやって表現をパワーアップさせるのかを考えたとき、緻密さではなく色彩の鮮やかさだったり、深みを与えることで実現させようと。たとえば、接地しているところの影の色調を3段階から10段階くらいにしてみたりだとか、細かいところの調整を積み重ねています。

あとは、草や木などについても、もともとの描きかたから変えています。よく見ると風に揺れたりしているんですよ。


▲細かいところの積み重ねで生まれ変わったという、新“CANVAS”

――そのほか、注目してほしい要素はありますか?

山下 今回、初めて海軍が登場するのですが、その代表である雪上巡洋艦センチュリオンとそのクルーたちには注目です。軍隊ものでは、陸軍と海軍が仲悪いという設定は伝統とも言えるので、そのあたりの“異文化コミュニケーション”も楽しみにしてほしいですね。

あとは、旅路とともに各章の舞台の光景や、「ブックモード」の手記の紙質の移り変わりなども細かいところですがわかりやすく変わっていたりします。また、バトルでは毎回のように新ギミックを導入しているので、飽きずに楽しんでもらえると思います。


▲シリーズ初登場となる雪上巡洋艦センチュリオン

――ストーリー的なところでは……?

山下 ネタバレになってしまうので言いたくないのですが(笑)、ストーリーを進めていくと、手記に空白の部分がいくつも出てきます。じつはそこには隠しエピソードなどが入ったりするんです。フラグがクリア後というものもあるので、とりあえずは気にせず進んでもらえればと思います。1ページ丸々飛ばされたりすることもあるので気になるとは思いますが……。まずはクリアを目指してください。

――わかりました(笑)。では、最後にユーザーへ『戦場のヴァルキュリア4』のアピールをお願いします。

山下 『戦場のヴァルキュリア4』は、シリーズ作品のいいところ、おもしろいところを全部書き出して洗い出すところから始めたもので、それらを結集した、まさに集大成となっています。初めての方はBLiTZなど最初は戸惑うかもしれませんが、ストーリー的にはシリーズ作品をプレイしていなくても楽しめるものになっていますし、ファンの方にとっても期待を裏切らないデキになっていると自負しています。ぜひ、遊んでみてください。


『戦場のヴァルキュリア4』公式サイト

ⒸSEGA

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ゲーム★マニアックス編集部

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