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『北斗が如く』プロデューサーインタビュー 誰も見たことがない『北斗の拳』はいかにして誕生した!?


▲『北斗が如く』ゼネラルプロデューサー 佐藤大輔氏

自分たちにしかできない『北斗の拳』への挑戦

――まずは『北斗が如く』というゲームのアイデアを思いついて、実現に至るまでの経緯を教えてください。

佐藤 『龍が如く』シリーズを12年作っている中で、新しいものにはつねに挑戦していこうと意識し、その一環としてスピンオフで時代劇をやったりゾンビものもやったりしました。でもそこからさらにまったく違うこと、『龍が如く』のゲームエンジンを使って何か新しいことができないか?を考え、既存のIPとのコラボはどうだろうという話になり、『北斗の拳』の名前が挙がってきました。

以前から『龍が如く』と『北斗の拳』のキャラクターのイメージが近いと、ファンから言われていました。たとえば「郷田龍司ってラオウっぽいよね」とか言われていて、確かにぼくらもそうだなと思っていました。なので、これはぼくらがやれば面白いものが作れるんじゃないか……となって、そこから企画が始まったという感じですね。

――『北斗の拳』原作サイドとの交渉はどんな感じだったのでしょうか?

佐藤 もともとNSP(ノース・スターズ・ピクチャーズ。『北斗の拳』を始めとした原哲夫先生の作品の版権管理会社)とウチの会社に繋がりがあったので、実現性はかなり高いということでスタートさせました。

――では企画はわりとトントン拍子というか、スムーズに進んだ?

佐藤 コラボレーションして何か作りましよう、ということが決まるのは苦労せずに行きましたね。ただ、企画がスタートして開発がある程度進んだ段階で、「本当にこれでいいのか?」と見直しをしました。当初は『北斗の拳』という作品をただ単純に『龍が如く』のエンジンとシステムに乗せたというもので、あまりに面白みがないというか……ゲームとしてちょっと疑問だったんです。

そこで、せっかく『龍が如く』スタッフが作っているんだから、もっと『龍が如く』とリンクしたものを作ろう!と。ぼくらじゃないと作れない『北斗の拳』にすべく、舵を思いきり切り直したんですよね。そのときに”こんなケンシロウ見たことない!”と、”北斗の常識をぶち壊す”というコンセプトが生まれました。

そのときに、今回採用されたケンシロウがカクテルを作ったりだとか、医者をやるみたいなアイデアがたくさん出たんです。ただ、そういうことをやるにはもう一度原哲夫先生とお話をして許諾を得なければならない。「いや、それは~」と断られるかなと思ってたんですけど、原先生側も「面白いですね! どんどんやっちゃいましょう!」というノリで、すんなりとオーケーをもらいました (笑)。

『北斗の拳』もちょうどそのころ『DD 北斗の拳』や『北斗の拳 イチゴ味』を展開していた時期で、原先生も「面白くて新しいことをやっていかないと、『北斗の拳』自体も広がっていかないので、ぜひやってください」と言ってもらえて。


▲原先生の快諾で実現した、”誰も見たことがない”ケンシロウを操ることができる


――『北斗が如く』という企画が成立している時点で達成している面はありますが、過去に発売されたいろんな『北斗の拳』のゲームと差別化するために、気をつけた点はありますか?

佐藤 さきほどの話にも出ましたが、「龍が如くスタジオが作る意味」というのを最大限出していきたいという考えから、いままでの『龍が如く』に出演された声優さんにキャラクターの声を担当してもらうことにしました。まずは主人公、ケンシロウを桐生一馬役の黒田崇矢さんにやっていただいて、周りも『龍が如く』の声優さんで固めてしまおうと。桐生(ケンシロウ)と敵対するならやっぱり郷田龍二(CV: 岩崎征実さん)をラオウにするのが合ってるよね、みたいな感じで配役していって。真島吾朗のジャギなんかも……。

――真島に関しては、『龍が如く』のプレイヤーならジャギで満場一致だと思います(笑)。

佐藤 そりゃ真島しかないよなって(笑)。


▲▲ケンシロウ以上に(?)すんなり配役が決まったという、ラオウ(写真上)、そしてジャギ(写真下)

――リハクに伊達真(CV:山路和弘さん)を持ってくるあたりは、なるほどと思いました。ジャギやリハクみたいに『龍が如く』での重要キャラがあてがわれているキャラは、原作の『北斗の拳』よりも出番が増えていたり、立ち位置が変わっていたりしますか?

佐藤 リハクに関しては原作よりは確かに出番は増えています。ただ設定自体は変わっていないんですよ。ユリアの従者です。あとは原作だと1話ぐらいしか出てこない、シュレンやヒューイもリハクにくっついてちょいちょい出てきます。ユリアを探す物語なので、その絡みで一緒に行動するキャラクターは出番が増えています。

――今回はオリジナルストーリーということですが、原作ファン的にはシンとの戦いの後に派生したifの世界、みたいなつもりでゲームに入るのがわかりやすいかなと思うのですが、その認識でOKでしょうか?

佐藤 まさにそうですね。シン戦まで原作と同じですが、以降はゲームオリジナルの展開で進んでいきます。原作だとケンシロウはシン戦の後は放浪の旅に出るんですけど、『北斗が如く』の場合はどこからかユリアは生きているという噂を聞き、ユリアを探すっていうシチュエーションでスタートします。それで奇跡の街、エデンに行くことになります。

――そこからケンシロウはエデンに定住して、原作で戦ったキャラクターたちがエデンを攻めにやってくる、みたいな形でストーリーは進んでいくイメージでしょうか?

佐藤 基本的にはそうです。エデンはいままでの『北斗の拳』ではありえない、水が無尽蔵に湧き出て電気も使えるので、いろいろな勢力が攻めてきますし、外敵を防ぐためにものすごく高い壁で囲われてて、普通は入れないようになっています。そこになんとかして入っていくところからゲームはスタートします。


▲エデンではいままで知ることができなかった、『北斗の拳』世界での生活が描かれる

北斗神拳をいかにゲームへ落とし込むか

――バトル面に話を移したいのですが、キャラクターのイメージには共通点があったとは思うんですけど、戦い方は『龍が如く』と北斗神拳ではかなり違いますよね? そこを北斗神拳に置きかえるときにどう工夫したかを教えてください。

佐藤 バトルもすごい試行錯誤をしました。ケンシロウって原作だと圧倒的に強いじゃないですか、ザコなんか一撃で倒して、ダメージを受けることなんかもないですし。ただそれだとゲームにならないんですよね。

ケンシロウの強さを維持しながら、ザコ戦も面白く持っていくところは、どういうシステムにするのがいいか、かなり悩みました。最終的には、敵に隙を作らせて秘孔が突く、という仕立てにしました。

従来の『龍が如く』と同じで□・△ボタンで出るパンチやキックで攻撃し、敵の上に表示されているドクロマークのゲージを満タンにしていく。ゲージがマックスになるとドクロが○ボタンに変わって、そこで初めて秘孔が突ける、という形にしました。

秘孔を突くと敵が固まる、痺れて動かなくなる、棒立ちになる、うずくまったりするので、そこにもう一度○ボタンで攻撃すると北斗神拳の奥義が発動します。


▲通常攻撃で与えられるダメージはごくわずか。○ボタンで秘孔を突くのが、『北斗が如く』のバトルでのセオリーとなる

――北斗神拳の奥義はどのように変わるのでしょうか?

佐藤 □□△や□□□など、□ボタンと△ボタンの組み合わせでいろいろなコンボが出るのですが、これによって出せる奥義も変わるようにしました。

代表的な北斗神拳の奥義はだいたい入れました。たとえば北斗百裂拳の場合、□ボタンを連打するとパンチの連打になって、それだけでも見た目は百裂拳なんですけど(笑)、そこから○ホタンを押すと奥義が発動し、ヒートアクションっぽい演出の北斗神拳奥義「北斗百裂拳」が出ます。


▲原作で印象深い北斗神拳奥義はほとんど収録されているようだ

――オリジナルの北斗神拳も入っていると聞いていますが?

佐藤 あります。10近くはあったと思うんですけど、原作の奥義と合わせたらだいたい30種類ぐらいかな? あと奥義はケンシロウの技だけでもないんですよね。トキと修行すればトキの技を覚えますし、宿星護符というシステムを使えばラオウの技も使えたりします。

宿星護符とは護符屋で作ってくれるお守りみたいな装備で、キャラクターの能力が封じ込められているんです。それを方向キーにセットしておくとそのキャラの技が使えます。ラオウの宿星護符だったら、天将奔烈が撃てます。

――宿星護符があれば、北斗神拳以外の技も使えるようになるんですね?

佐藤 はい。たとえばヒューイの技も使えて、範囲攻撃で周りの敵の視力を奪う効果があります。仲間になるキャラクターだけでなく、ジャギの技なんかも使えますよ。あとはバトルだけじゃなく、バギーの運転中に一定時間ガソリンが減らなくなる、なんて効果の護符もあります。


▲ラオウの技、天将奔烈を繰り出すケンシロウ

――あと「ひでぶ!」などのフキダシで殴るシステムもありますよね。

佐藤 あれは名越(稔洋総合監督)のアイディアなんですよ。原作っぽさ、よりマンガっぽく見えることを目指して、断末魔を2Dで表示するといいんじゃないかと思って入れたんですけど、それを見た名越が「これで殴りたいな」って言い出して(笑)。それで実現しました。


▲『北斗の拳』の特徴のひとつである、”断末魔”を有効活用(?)

――北斗神拳といえば、あの技やダメージ描写を再現するとそれだけで対象年齢が上がっちゃうと思うんですけど、表現の面で苦労された部分はありますか?

佐藤 いろいろ悩みましたね。テレビアニメなんかは爆発した瞬間に光ったり黒くしてましたよね。ウチも最終的には(爆発する体は)黒くしました。でも血は血の色でいきたいよね、という話はずっとしてましたね。とはいえ、CEROレーティングをZ(18歳以上のみ)にはしたくない……というギリギリを攻めてみた結果、なんとかD(17歳以上対象)に収めました。あと血が苦手な人用に、オプションでマイルド表現にできるようにはしています。

――1980年代に放映されていたテレビアニメ版ぐらいの表現は期待してもいいと?

佐藤 アニメよりは原作の劇画調に近いですね。単にキレイな3DCGにはしたくなかったし、セルアニメっぽい表現も違うなと。リアルとトゥーンのあいだぐらいを狙いました。やっぱり原先生の原作のタッチを再現したいっていうのもあり、ハッチングって呼ばれているシェーダーを使って表現してみたつもりです。テレビアニメよりはウチのほうが原作に近い表現だと思います。


▲ギリギリを攻めたという、ダメージ描写

充実のプレイスポット しかしNGが出たアイデアも!?

――『北斗が如く』の中で注目度が高い要素と言えば、やはりプレイスポットだと思うのです。ボリュームは従来の『龍が如く』シリーズと比べて、どれぐらいになるとイメージすればよろしいでしょうか?

佐藤 一番近いのは『龍が如く 維新!』かな。『龍が如く』のナンバリングタイトルは、シリーズが続くことによって積み重なっていくものなので、1回作れば次にも繰り越せるじゃないですか。そこに毎回新しいものも加えていくので、当然数は増えていきますよね。だからナンバリングと比べるとプレイスポットの数は当然少なくなってしまうんですけど、『龍が如く』を時代劇に置きかえた『維新!』のときぐらいはある、と思ってくれるといいんじゃないかと思います。


▲リズムよくボタンを押して患者を治療しつつモヒカンの秘孔は突いて爆散させていく、”ケンシロウ・クリニック”


▲バッティングセンターも『北斗の拳』仕様にリニューアル!? “デスバッティング”

――プレイスポットひとつにしても、従来の『龍が如く』よりは製作に時間がかかったし、苦労もされた感じでしょうか?

佐藤 冒頭で言ったとおり、一度舵を切り直したときにそこでほぼ作り直した、……っていうか、シナリオからやり直しましたからね。

4章ぐらいまでは1本道に近いんですけど、それ以降はサブストーリーがどんどん発生して、それをクリアしいていくと『龍が如く』と同様、ミニゲームも遊べるようになっていきます。それぞれのミニゲームをうまくリンクして作れることができたと思っていて、どれも最終目標はケンシロウを最強にするってことに繋がるのですが、いろんなミニゲームをやっていくと、究極に強いケンシロウに育つ仕立てにはなっています。

――プレイスポットを企画するときに「さすがにこれは……」と自重したり、NGが出たものってありますか?

佐藤 自重はしてないんですよね(笑)

――(笑)

佐藤 自重はしてなくて、とりあえずぶつけるものはすべてチェックをお願いしてみたんですが、ケンシロウが設定的にやらないものにはNGが2つほど出ました。

ひとつは客として行くキャバクラです。ケンシロウはユリア以外は口説かないから。もうひとつはカラオケ。ケンシロウは歌わない、と。


▲あくまで黒服(キャバクラ経営側)女性を守る立場に徹するプレイスポット、”黒服ケンシロウ”

――そういえば『龍が如く』の桐生一馬は、よくカラオケで歌ってましたね。あとグラビアアイドルの写真を撮ったりですとか。

佐藤 桐生はぼくらの判断でなんでもやってしまうんですけど(笑)。やっぱりNSPさんも面白いことはやってくださいと言いつつも、キャラクターのイメージを壊すようなことはNGなので。そこはぼくらも当たり前に思ってて、『北斗の拳』の常識は壊すけど、キャラクターまで壊す気はないので、キャラクターの設定やパーソナリティーはしっかり守りつつ作っています。だから原作のファンの人にも許してもらえるラインだと思います。

――最後に、このゲームを楽しみにしている読者の方にメッセージをお願いします。

佐藤 『北斗の拳』というIPを使わせてもらったおかげで、かなり面白いものができた、と自信があります。遊びごたえがあって、ボリューム感もしっかりあるものに仕上がっていますので、ぜひ一度プレイしてみてほしいと思います。2月22日にPlayStation Storeで体験版が配信されますので、まずはそれを触ってみてください。それで気に入ってもらえたら、ぜひ購入していただきたいですね。


『北斗が如く』体験版配信開始

2月22日正午頃からPS Storeで体験版が配信されるので、DLして遊んでみよう!

『北斗が如く』公式サイト

©SEGA ©武論尊・原哲夫/NSP 1983 版権許諾証GA-217

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ゲーム★マニアックス編集部

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