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【ゲームレビュー】至高のサスペンスホラーを『ひぐらしのなく頃に奉』でもう一度

著者:ゲーム★マニアックス編集部

多彩なメディアミックス展開が行われた『ひぐらしのなく頃に』(以下『ひぐらし』)に、何らかの形で触れたことがあるという人は多いのではないだろうか。今回の記事では、家庭用ゲーム版『ひぐらしのなく頃に奉』を紹介する。


筆者が最初に『ひぐらし』を遊んだのは、同人ゲームとしてその人気を拡大していた頃で、今から10年以上前になる。

――昭和58年、雛見沢村を舞台に起きる奇妙な事件と惨劇、そして真意のつかめない村人たちが織りなすドラマは、今まで体験したことのない強烈なサスペンスであり、ホラーだった。

連作ゲームとして頒布された同人版では、正解率1%というキャッチコピーが躍り、当時は友人たちとさまざまに予想を語り合ったものだ。最後まで遊びきったときは、達成感でいっぱいだった。

同人版がひと段落したあとも『ひぐらし』の人気はさらに過熱し、さまざまなメディアミックス作品や家庭用ゲーム版がリリースされていったが、僕は最初の同人ゲーム版以外の作品には触れないまま過ごしてきた。

一度楽しんだエンタメを再び楽しむことへの抵抗があり、本作の魅力として強烈に印象に残っていたシーンを二度体験しても感動は薄れてしまうのではと思っていたのが、その大きな要因である。また、以降に『ひぐらし』以外のさまざまなエンタメを経験したこともあり、再び『ひぐらし』を経験することにあまり気が進まなかったのもある。10年も経過したエンタメ作品が、さまざまな感覚の変化したであろう自分にとって、もう一度刺さるとは思えなかったからだ。

しかし去年、友人の同世代のゲーマーと雑談をしていると「久々に『ひぐらし』を遊んだけどやっぱり面白かった」という話題が出た。彼もまた、同人ゲーム版をプレイしたユーザーで、去年やっと『ひぐらし』を遊びなおしたとのことだが、まるではじめて遊んだかのように絶賛している。同人ゲーム版にはなかったエピソードなども、家庭用版には多数収録されており、そのひとつひとつがおまけとは思えないクオリティだという。

熱く語る彼を見て、いろいろ忘れていることもあるし、一回遊び直してみようと思って手にとったのが、タイムリーな移植作である『ひぐらしのなく頃に奉』だった。そしてこれが、すこぶる面白かった。

家庭用版での体験は強烈なものだった。昔プレイした同人版とは異なり、イラストも、音楽も、演出も変化しており、心地良いスピード感のシナリオは一度始めるとやめどきがわからなくなる。同人ゲーム版で遊んだのはファンディスクにあたる『ひぐらしのなく頃に礼』までで、家庭用版にも同じタイトルのシナリオがいくつかあったが、ほとんどのシーンで新鮮さすら感じてしまった。

同人ゲーム版をプレイしていたころは、続きとなるシナリオの頒布を待つ時間がほどほどにあったので、物語を一気に楽しむという感覚は薄かったように感じるが、家庭用版では大きな物語として『ひぐらし』を受け止めることができたのも嬉しい変化だった。

そしてこのゲームは、当時も今も変わらずとてつもないエンタメなのだと気づかされる。色褪せるどころか、この作品を同じベクトルで超えるような作品がまったくでてきていないのだ。この作品に影響を受けたサスペンスホラーはいくつも想像できるが、やはりそれらは『ひぐらし』っぽいものに過ぎない。

本編以外のシナリオ、家庭用を中心に展開されてきたものについては、僕にとっては初プレイとなる。これも友人の言うとおり「おまけ」とは思えないボリュームと読み応えがあった。ギャグテイストの強いシナリオもあるが、いくつかのシナリオは『ひぐらし』という壮大なドラマのピースになっている。

本編と比べて飛躍しすぎではという話もあるが、その中に意外にはじめて知る知識が織り込まれていたりもした。本編では見られないキャラクターたちの意外な一面も見ることができたのも大きな収穫だったと言えよう。

また、本作の原点とされる『雛三沢停留所』シナリオが収録されているのも本作の大きな魅力だ。このシナリオは、同人ゲーム版の『ひぐらし』が世に出る以前に、脚本として存在していた同一タイトルのものを、漫画化、ゲーム化というステップを踏んでドラマティックに仕立てたものとなっている。『ひぐらし』本編の設定を把握したうえで読み進めれば、いろいろな発見があるだろう。

本作には合計23本ものシナリオが収録されている。僕はボイスをじっくり聞くタイプではない。そして一度遊んだゲームだから、せっかちにスキップを交えながらプレイした部分もあるが、それでも40時間近く本作をプレイすることになった。シリーズ未プレイの方や、ボイスをじっくり聞くという方であれば、100時間程度は優に遊べるのではないだろうか。1本でこれだけ遊べるアドベンチャーゲームというのは、ほかになかなかあったものではない。

初プレイの人に向けた親切なヒント機能などはもちろん、シリーズを何らかの形でプレイした人も楽しませてくれる新要素(新しい主題歌、家庭用初収録となるシナリオ)もちらほらとあるので『ひぐらし』が気になる人にはぜひ遊んでほしい1本だ。


文●川添仁
 

ひぐらしのなく頃に奉

ジャンル:アドベンチャー(サスペンスアドベンチャーノベル)
対応機種:Nintendo Switch / PlayStation 4
発売日:発売中(Switch版:2018年7月26日 / PS4版:2019年1月24日)
価格:限定版9,980円(税別) / 通常版7,980円(税別) / ダウンロード版6,980円(税込)
販売元:エンターグラム

『ひぐらしのなく頃に奉』公式サイト
http://www.entergram.co.jp/higurashihou/

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