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【ゲームレビュー】ついてこれるか『√Letter ルートレター Last Answer』のスピードに

著者:ゲーム★マニアックス編集部

"角川ゲームミステリー"として発売された『√Letter ルートレター』は、不思議なプレイフィールを持った作品だった。人気イラストレーター・漫画家である箕星太朗先生による美少女キャラクター、舞台にした島根県を瑞々しくゲームの中に描く表現力、アドベンチャーゲームでありながらゲームらしさを出そうとしたシステム群といった美点は、本作の大きな魅力だ。


しかし、これらのわかりやすく優れた要素を支えるはずのシナリオが、多くのプレイヤーを困惑させた。ミステリーといっていいのか戸惑うような、ぶっ飛んだ要素に満ちていたのだ。ミステリーを謳いながら、UFOやオカルトじみた話題に踏み込んでいき、登場人物のひとりがカラスに頭を突き刺されて死んでしまうといった展開が猛スピードで起こる様を見せられて、多くのプレイヤーは普通ではいられなかったのだ。

僕もそのひとりで、本作における最大のミステリーは「本作はバカゲーなのか、それとも真面目に作った結果こうなったのか!?」という部分にあると考えさえした。そしてこの問題への答えを、僕は出せなかった(じつは当時レビューを書く予定があったものの、「よくわからない作品なのでパスさせてください」と断ってしまった)。

そして2018年12月、『√Letter ルートレター』の実写版である『√Letter ルートレター Last Answer』が発売された。僕はこの作品を楽しみに待っていた。タイトルに含まれた"Last Answer"が、本作がバカゲーなのかどうかという問いに対して、答えをくれるのではと考えたからだ。


▲『√Letter ルートレター Last Answer』には、実写版はもちろん、オリジナル版の2DCGバージョンも収録されている。本作ひとつで、『√Letter ルートレター』の世界を余すところなく楽しめるのだ。スキップ機能などもより快適になっているため、オリジナル版を遊んだ人ならサクサク進められるはず
 

ゲームを始めてすぐに、本作の実写表現がオリジナル版に忠実に作られていることがわかった。キャラクターの構図などもほぼそのまま、実写化作品としては文句のないクオリティとなっている。

一枚一枚のグラフィックが非常に丁寧に作成されており、登場人物たちを演じる役者さんたちもとても魅力的に見える。グラフィック表現だけを見れば、大真面目な作品のように感じるだろう。

しかし、ここにシナリオが絡みついてくると、笑ってはいけない『√Letter ルートレター Last Answer』が幕を開ける。本編のシナリオはオリジナル版と同じだが、その描写が実写になることで、破壊力が何倍にも増すのだ。

物語は、主人公が「届くはずのない手紙」を見つけるところから始まる。送り主は、15年前のペンフレンドである文野亜弥。「私は人を殺してしまいました」という衝撃的な一文が記されたその手紙を見た主人公は、ペンフレンドが当時住んでいた「島根」に向かう。そして、彼女の足跡を追うために、当時の手紙に記された友人たちである「メガネ、ガリ、デブ、チビ、ビッチ、サル」といったあだ名を持つ人物たちを探すことになる。

高校時代の友達に、このあだ名をつける勇気は僕にはないが、文野亜弥さんたちのグループはそれをいとも簡単にやってのける。


▲初対面の相手に、ジャブを放つかのように「あんた、おしゃべりのビッチだろう」と決めつけてかかるのが本作の主人公
 

しかし、再会した文野亜弥の友人たちは、自分たちの過去を語ることを嫌がり、主人公を遠ざけようとする。

そんな事態に、マックスというあだ名を自称する主人公は、"マックスモード"という勢いだけの推理モードで登場人物たちを次々になぎ倒していく。時には相手のコンプレックスを刺激してでも真実をつかみとろうとする。ヅラをつけている人に、「自分の頭頂部に聞いてみろ!」と問いかけて真実を引き出すマックス君の勢いは、実写になることでよりキレ味を増しているように感じる。

追加シナリオとなる解明編は、本編を超える勢いでプレイヤーを揺さぶってくる。もう止まらねえぞというような全力疾走を見せ、プレイヤーは嵐のようなシナリオに巻き込まれていく。

そして、本作が真面目に作られた、愛すべきバカゲーなのだとわからせてくれる。細部はとてつもなく丁寧で、シナリオは捕球不能の豪速球。アンバランスだが、足りないものはないように感じる。舞台である島根県へのリスペクトも欠かされておらず、観光ガイドのようなものもしっかりゲーム内コンテンツとして落とし込まれている。

余談だがオリジナル版は、全世界で20万本以上売れたという。そして、普通のゲームのメディアミックスとしてはありえない実写化作品である『√Letter ルートレター Last Answer』がこうして誕生し、どういう形かは不明だがハリウッド映画化の発表など、わけのわからないことが次々に起きている。こんなパワフルな作品が、優等生なアドベンチャーゲームを目指していたわけがない。

『√Letter ルートレター』ワールドは、今まで遊んできたアドベンチャーゲームや触れてきたエンターテイメントで得た尺度で計れるような代物ではなかったのだ。もうこうなったらどこまでもこの作品を追いかけていきたい。


▲解明編はそれほど長くはないものの、中にこめられた謎の熱量でプレイヤーを圧倒してくる。もうどうにでもしてくれという勢い溢れるシナリオに、飲み込まれること間違いなし
 


▲ゲーム内のおまけ要素・観光ガイドは、実際の島根のガイドとして使えるほどのクオリティ。携帯機版を片手に、島根の舞台探索をするのも良いだろう
 


▲登場する背景の多くは島根のもの。しかし、「ここは島根です」といいつつ、突如として神田の古書街が登場したりするので、舞台探索には油断せず臨もう
 

最後に、このゲームの感想を書いておく。

『√Letter ルートレター Last Answer』は、極上のバカゲーだ。気になる人は、ぜひ遊んでほしい。


文●浅葉たいが

√Letter ルートレター Last Answer

ジャンル: ミステリーアドベンチャー
対応機種: PlayStation®4 / PlayStation®Vita / Nintendo Switch™
発売日: 発売中(2018年12月20日)
価格: 通常版 5,480円 (税別)/ダウンロード版 4,980円 (税込)

公式サイト
http://www.r-letter.com/

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