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【ゲームレビュー】『WHITE ALBUM2 幸せの向こう側』をクリスマスシーズンに遊ぶのはやめろ

著者:ゲーム★マニアックス編集部

皆さんは、ギャルゲーを遊んだことがあるだろうか。僕は10代から結構いろいろなギャルゲーを遊んできた。年齢を重ねて、以前とは受け止め方が変わってきたものの、巡り合った傑作は思い出深いものが多く、未だにこのジャンルのゲームが大好きである。今回の記事では、ゲーム★マニアックスの編集者から、「クリスマスシーズン向けにギャルゲーの記事を書いて欲しい」とプッシュされた『WHITE ALBUM2 幸せの向こう側』をピックアップして紹介する(なんという編集者だ)。


本作は2012年にプレイステーション3用ソフトとして発売されたタイトルで、PC用ソフトからの移植版となる。僕のプレイしてきたギャルゲーの中でも、屈指の名作である。

ギャルゲーというのは、綺麗な世界を描いたものが多い。サスペンス色の強いものや、どんでん返しを入れたものも少なくはないが、登場人物の心の動きを見ていくと透き通ったものが多かったりする。

あまりにも僕たちの想像を超えた登場人物たちの思惑ややりとりが交差する作品もあるが、それはどこか遠い世界の物語として楽しむことができる。

しかし、『WHITE ALBUM2』は、主人公の周りに美少女たちがいるというご都合主義的なスタートを切るものの、登場人物たちの心の動きは、どこか僕らに重なるところがある。すべてにおいてリアリティがあるわけではないが、ここぞという描写に、人間らしさがぐっと詰まっていて、僕たちはそれに共感したり、時には登場人物に嫌悪感を覚えたりする。

魅力的な女の子が周りに複数いたときに、主人公がどういう行動をとるか。同じ人を好きになった人物たちは、どのような駆け引きをするのか。どうしてそんなことまで語ってしまうのかということが、赤裸々に描かれるのが本作の特徴なのだ。

恋愛に限らず、僕たちは時に、選択と向き合うことがある。自分で選択したものは、人でも物でも、しばらくの間向き合うことになる。そこで幸せを感じることもあれば、後悔することもあるだろう。

しかし、選択しなかったものと歩めばどうなっていたのかということは、あくまで想像することしかできない。しかしその想像は、ちょっと甘い妄想が入っていたり、都合の悪いことには触れないようにしていたりする。

そしてゲームでは時に、「選び直し」が効いたりする。ギャルゲーでは、ヒロインの個別ルートがそれに当たる。ギャルゲーを遊ぶとき、多くのプレイヤーはすべての攻略可能ヒロインを攻略する。僕もそうだ。お気に入りのヒロインを攻略し終えたら、とりあえず他のヒロインもということでCGコンプリートまでやり遂げる。

最初のプレイでは選ばなかったルートを回収するというわけだ。ただ、本作に関しては、思い入れのあるヒロインを終えると、ちょっと間を空けたくなってしまう。選ぶことの重さが、とてもはっきりと描かれているから、少しためらってしまうのだ。

まず、本作でプレイヤーが選択に関われるようになるのは、三角関係に踏み込んでからだ。そしてこの物語の三角関係は、やりすぎではないかと思うほどにこじれていく。

共通ルートと呼ばれる、必ず通過しなければならないルートの中で、プレイヤーは既に、主人公に振り回され、強制的にその選択を見せられることになる。

その選択の結果、丸く収まるハッピーエンドにはたどり着かないことを胸にとどめながら、そこから各ルートを攻略していくことになる。物語を進めるうえで、優柔不断で、時に恋愛に関して暴走しがちな主人公のバイアスを受けつつも、選択を下す。

多くのギャルゲーにおいては、選ばれなかったヒロインはすっと影が薄くなるものだが、本作では選ばれなかったヒロインのことが棘のように、物語にひっかかってくる。選ばれた側の眩しさの陰で、選ばれなかった者はどのような感情を抱えるのかということを考え始めると、もうたまらない。時にはなんだか苦しくなったりする。

こうした選択の重さを噛みしめたからこそ、多くのアドベンチャーゲームファンは本作を傑作として推すのかもしれない。この作品を僕が遊んだのは、オリジナルのPC版の時代なのでもうずいぶん前のことだが、今遊んでも、きっと似たような痛みを覚えるだろう。感受性の強い時期に遊べば、なおさら響くものがあるのではないかと思う。

この作品をまだ遊んでいないという人は、ぜひ遊んで欲しい。遊ぶとしたら2013年に発売さえれたPlayStation 3版かPlayStation Vita版となるが、読者の方が18歳以上ということならばPC版という選択肢もありだ。こちらは2018年2月に『WHITE ALBUM2 EXTENDED EDITION』が発売されたので入手しやすいはず。性描写のあるPC版もなかなかに重みがある。いわるゆアダルト描写があるが、それは物語に重みを出すための要素になったりもしている。年齢的に問題ないという方は、こちらのプレイも検討していただきたい。

アドベンチャーゲームの傑作とされる作品は、シナリオ、グラフィック、サウンドの3要素が高いレベルで成立し、融合することで生まれたものがほとんどだが、本作も例外ではない。楽曲については、プレイした後にボーカル曲を聴きつつ歌詞を眺めれば、またこみ上げるものがあるだろう。

ただ、クリスマスシーズンに遊ぶのは正直あまりおすすめはしない。


文●浅葉たいが


WHITE ALBUM2 幸せの向こう側

ジャンル:恋愛アドベンチャーゲーム
対応機種:PlayStation 3/PlayStation Vita
発売日:発売中(PS3版2012年12月20日、PS Vita版2013年11月28日)
価格:2800円[税別](AQUAPRICE2800版)アイテム課金制(基本プレイ無料)
発売元:アクアプラス

PS3版『WHITE ALBUM2』公式サイト

PS Vita3版『WHITE ALBUM2』公式サイト

©2012,2013 AQUAPLUS

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