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「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」レポート。へるん選手の優勝が「好きなデッキを信じる尊さ」を教えてくれた

著者:ゲーム★マニアックス編集部

2018年11月23日、『シャドウバース』王者を決める大型大会「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」が開催、関東予選・関西予選を勝ち上がった8人のファイナリストによるGRAND FINALSの模様をお届けします。


 

全選手の健闘を讃えたうえで所見を述べさせてください。ただひとり「ネメシス」デッキを持ち込んだへるん選手の優勝は、ドラマとしてできすぎている」と感じてしまうくらい熱い結果だったのではないでしょうか。

というのも、本環境におけるトップメタ、つまりランクマッチで人気を集めていたクラスは「ネクロマンサー」「ドラゴン」「ヴァンパイア」で間違いありません。へるん選手のみ使用した「ネメシス」は、環境トップから数段劣る中の上くらいの評価だったように思います。

「好きなカードで勝つ」という、カードゲーマーなら誰しも憧れる栄光を、へるん選手はRAGE決勝という最高の舞台で手にしたのです。


それでは、前述した4つのデッキタイプの特徴をそれぞれ簡単に解説しましょう。

まずは《幽霊支配人・アーカス》を軸に据えたデッキが猛威を振るう「ネクロマンサー」。体力の最大値が20のこのゲームにおいて、10ターン目にいきなり25点を叩き出すコンボは核兵器のような終結力を誇ります。

豊富なドローソースのおかげで、近所のコンビニに行くような感覚でコンボパーツを揃えられるのもポイント。《グレモリー》の弱体化でわずかに難易度は上がりましたが、「どのコンビニでも買えていた商品がセブンイレブン限定販売になった」程度のテコ入れにすぎません。金の核ミサイルで敵国は終わりです。

中盤の展開にも隙がなく、白兵戦で盤面を制して勝ち切ることも可能。ドレインによる回復も得意で、安定性という意味では頭ひとつ抜けています。
 

続く「ドラゴン」は攻守のバランスが取れたミッドレンジ。ドラゴンの伝統だった豪快なパワーカードはなりを潜め、テクニカルな凌ぎ合いに頭を使うデッキに生まれ変わりました。《侮蔑の絶傑・ガルミーユ》《原初の竜使い》という2本柱が盤面を制圧し、ついでに顔面もボコボコに殴ります。

中盤にゲームの流れを支配し、そのままの勢いで《アジ・ダハーカ》の疾走6点を叩き込むのが王道プラン。カードゲームらしい正統派の戦いが魅力のデッキタイプといえるでしょう。
 

ファイナリスト全員が持ち込んだ「ヴァンパイア」もまた、本環境を象徴するデッキのひとつ。自傷した回数ぶんのダメージを飛ばす《闇喰らいの蝙蝠》を軸に据え、《フラウロス》《姦淫の絶傑・ヴァーナレク》《狂恋の華鎧・ヴィーラ》という名プレイヤーが脇を固めます。

《フラウロス》の弱体化により「2ターン目5/3」というインチキが制限され、《闇喰らいの蝙蝠》のフィニッシュターンも遅くなったものの、代わりに豊富な回復手段を生かして粘り強く戦うデッキが台頭。進化権を生かしたカードが強力な「後攻でも強いデッキ」というアドバンテージも見逃せません。

では、へるん選手が使っていた「ネメシス」はどうでしょうか。

新たに追加された《破壊の絶傑・リーシェナ》は「条件を満たせば毎ターンすべての敵に10点ダメージ」というド派手な効果を持つレジェンドカード。実際に使ってみたくなるロマンに溢れていました。

ですが明確な弱点も多く、安定性に長けているとはお世辞にもいえません。「ネクロマンサー」とはまるで逆ですね。

そこで、るん選手はデッキの主軸を伝統的なアーティファクトに置き、そのサブプランとして《破壊の絶傑・リーシェナ》を採用します。《デウスエクスマキナ》《加速装置》を使った盤面制圧力は随一。新カード《オートメーション》の汎用性も抜群で、相手に応じて勝ち筋を選択できるデッキといえるでしょう。

ただし、そのぶんプレイングの難易度は鬼。テンプレート的な正解が存在せず、その場その場で高度な選択を求められるからです。

このことから、グランドマスター帯ですら強いネメシス使いと当たることは稀。へるん選手の圧倒的なまでのネメシスへの自信も「デッキ愛からくる贔屓目なのではないか」と疑問視されていたことは否めません。

そんな「ネメシス」とへるん選手がどのように優勝を手にしたのか。ここからは、各試合の模様をご紹介します。

準決勝 へるん選手VS ぶれ選手

RAGEのルールを簡単に説明しましょう。決勝トーナメントであるGRAND FINALでは、BO5と呼ばれる3本先取制が採用されています。各選手は3つずつデッキを持ち寄り、勝利したデッキはその対戦中使用できなくなるという試合形式です。

へるん選手のデッキは「ドラゴン」「ヴァンパイア」そして「ネメシス」。対するぶれ選手は「ドラゴン」「ネクロマンサー」「ヴァンパイア」を選択しています。

第1試合は「ヴァンパイア」VS「ヴァンパイア」のミラーマッチ。勝利を手にしたのは、進化権を最高の形で使い切ったぶれ選手でした。

分水領となったのは7ターン目。進化時にリーダーと自身に耐性を付与する《狂恋の華鎧・ヴィーラ》を無傷の形で着地させ、併せて《フラウロス》をデッキから直接召喚するぶれ選手。

この《狂恋の華鎧・ヴィーラ》《フラウロス》を同時に並べる動きは大変強力です。どちらもすぐに除去したいカードでありながら、無傷で倒すのが相当に難しい。《フラウロス》はフォロワーで殴りたくない5/3という攻撃力を持ちますし、耐性を持つ《狂恋の華鎧・ヴィーラ》を倒せるカードは限られます。

へるん選手は紙一重の賭けに成功し、これをなんとか返すファインプレーを見せますが、ここで後手に回ったことが最後まで仇となり勝敗が決しました。

第2試合は、へるん選手「ドラゴン」VSぶれ選手「ネクロマンサー」

序盤からぶれ選手が盤面をリードした形での展開が続き、順調にへるん選手の体力も削れていきます。そんな状況を覆したのが、強力な盤面制圧力を持つ「ドラゴン」カード《原初の竜使い》。勢いに乗ったへるん選手が《アジ・ダハーカ》でフィニッシュを決めます。

両者互角の形で迎えた第3試合目。へるん選手は「ヴァンパイア」を、ぶれ選手は「ネクロマンサー」を選択します。

《幽霊支配人・アーカス》を着地させ、《ゴースト》でへるん選手の体力をあと一歩まで追い込むぶれ選手。この局面で活躍したのが、へるん選手の《狂恋の華鎧・ヴィーラ》でした。

2点以下のダメージを無効化する《狂恋の華鎧・ヴィーラ》は、攻撃力の低い《ゴースト》をマシンガンのように連打する「ネクロマンサー」への強力なメタカードです。

へるん選手の狙いどおり、ぶれ選手は《姦淫の翼》で強化された《狂恋の華鎧・ヴィーラ》を除去できず、そのまま逆転を許してしまいます。へるん選手が決勝進出に大手をかけました。

第4試合。満を持してへるん選手の「ネメシス」が登場します。迎え撃つぶれ選手のデッキは「ネクロマンサー」です。

序盤から強力なカードを手札に加えていくぶれ選手に対して、へるん選手は切り札を引くことができません。

流れが変わったのは4ターン目。へるん選手が「最愛の女」と称する《破壊の絶傑・リーシェナ》が最高のタイミングで手札に加わり、続く先行5ターン目にプレイ。そのまま進化して《白き破壊のアーティファクト》を生み出します。

そこからの展開は圧倒的。《加速装置》《アナライズアーティファクト》のコンボが「除去」と「ドロー」、「《白き破壊のアーティファクト》のコスト低下」という爆発的なアドバンテージを生み出します。ぶれ選手に身動きさせないまま《黒き破壊のアーティファクト》が降臨。見事な勝利を収めました。

決勝戦 へるん選手VSカラクリ/KBS選手

もうひとりの決勝進出者はカラクリ/KBS選手。高校生でありながら、テクニカルなプレイで観客を魅了します。

そんなプレイスタイルが如実に現れたのは準決勝の「ネクロマンサー」ミラーマッチでした。先攻だったカラクリ/KBS選手は、4ターン目に相手の《ベレヌス》をあえて「取らない」選択をします。状況が不利なのにもかかわらずです。

序盤の小競り合いで多少不利になったとしても、そもそも「ネクロマンサー」ミラーでは先攻が圧倒的に有利。だとすれば後攻の頼みの綱である《レディ・グレイ》進化の価値を下げることが最善策だと考えたのでしょう。実際にこの試合はカラクリ/KBS選手が見事勝利を収めました。

さて、そんな強者による決勝戦。へるん選手が「ドラゴン」「ヴァンパイア」「ネメシス」カラクリ/KBS選手が「ドラゴン」「ネクロマンサー」「ヴァンパイア」というデッキ構成です。

第1試合は「ヴァンパイア」対決。互いにノーガードで(自分を)殴りあう激しい戦いが繰り広げられました。そんな試合展開の中で突然生まれた勝ち筋を見逃さなかったへるん選手が勝利します。

続く第2試合は、へるん選手「ネメシス」VSカラクリ/KBS選手「ヴァンパイア」。

準決勝に続き、へるん選手の「ネメシス」が決勝でも理想的な動きを見せます。ただし今度は6ターン目の《デウスエクスマキナ》を起点としたアーティファクト軸。

カラクリ/KBS選手も《デウスエクスマキナ》を警戒した動きを展開し、一時的には功を奏しますが、それを挽回する勢いでへるん選手のアーティファクトが活躍。盤面を制圧しながら《レディアントアーティファクト》による疾走で勝負を決めました。

そして3試合目はへるん選手が「ドラゴン」、カラクリ/KBS選手が「ヴァンパイア」を選択。序盤から盤面を支配し続けたへるん選手が勝利し、優勝者が決定しました。

前評判を覆して「ネクロマンサー」や「ヴァンパイア」を下す「ネメシス」の姿には、少年漫画のクライマックスを読んでいるようなカタルシスがありました。

一度は引退した『Shadowverse』を再開したきっかけが「ネメシス」の追加だったというへるん選手。「ネメシスと世界大会に行けてうれしい」「最高のパートナーです」という言葉には感動を禁じえません。

好きなカードを信じ、戦い抜いたへるん選手の姿は、きっと多くの観客に大切な何かを思い出させてくれたはず。解説のkuroebi氏が「プレイヤーとして復帰したい」とコメントを残した気持ちも理解できる気がします。

そして、この感動も魅力的なライバルの健闘があってこそ。ファイナリストと、そしてRAGEに出場したすべての選手の活躍を讃えて本レポートの締めとさせていただきます。お疲れさまでした。


取材・文●戸部マミヤ

「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」公式サイト

『シャドウバース』公式サイト

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