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『ミリオンアーサー アルカナブラッド』PS4版発売記念インタビュー! 「ガチ」格闘ゲーマーな琢磨尚文プロデューサーが語る制作秘話

著者:ゲーム★マニアックス編集部

PlayStation 4版『ミリオンアーサー アルカナブラッド』(以下『アルブラ』)の2018年11月29日発売を記念して、スクウェア・エニックスの琢磨尚文プロデューサーへのインタビューを敢行。アーケード版で本作を遊んでいる多くのプレイヤーは琢磨Pが「ガチ」格闘ゲーマーだと認めており、そんな氏が送り出したゲームはどのような表情を持っているのだろうか。(インタビュー・構成●浅葉たいが)



▲全国のゲームセンターを熱く盛り上げている『アルブラ』がいよいよPS4に! 家庭用ならではの要素も盛りだくさん。今回のインタビューでは、本作の成り立ちを、初公開の設定資料(本稿のサイトにまとめて掲載)も交えて語ってもらった
 


▲スクウェア・エニックスの琢磨尚文プロデューサー。『アルブラ』の制作総指揮を務めた

アーケード版をリリースしたのは『ミリオンアーサー』を広めるため

――家庭用版の発売、おめでとうございます。本作は、昨年11月にアーケード版が稼働し、それをベースにしつつ、いろいろな家庭用ならではの要素を足したものとなっています。ここ最近の格闘ゲームで、アーケードが初出になる作品というのも減ってきていますが、最初にアーケード版でスタートした理由についてお聞かせください。

琢磨 アーケードからスタートしたのは、このプロジェクトが『ミリオンアーサー』のフィールドを広げるという目的のもとに立ち上げたものだからです。『ミリオンアーサー』シリーズはシリーズ総合プロデューサーの岩野を中心にスマートフォン、家庭用ゲーム機、アニメ、実写といろいろなメディアで展開していて、次はどこだろうと考えたとき、アーケードはやっていないなと思ったんですね。

そして、アーケードでやるなら……と考えたときに、大型筐体かソフト入替えの汎用筐体か、どちらかの道をイメージしました。大型筐体も興味はあったんですが、プロジェクトとして大きくなりすぎる可能性もあり、今回は汎用筐体を選択しました。

そうしたら、やっぱり格闘ゲームだなと。僕は格闘ゲームが大好きなので、このジャンルなら良いものを作れるかもしれないと考えていたんです。


▲アーケード版『アルブラ』をプレイする琢磨プロデューサー。全国大会の予選会場をまわり、出場者のプレイヤーたちと対戦する機会も多かったという
 

――『ミリオンアーサー』のキャラクターたちが、格闘ゲームで動くと聞いたときは驚きました。

琢磨 原作の『ミリオンアーサー』シリーズから離れたジャンルを選んだことで、出せるキャラクター数は限られたものになってしまいますから、作ると決めたときもちょっと揺れる部分はありました。もちろん僕もゲームファンなので、好きなキャラクターを使いたかった、出てほしかったという気持ちはとてもよくわかります。

しかし、5年後、10年後に『ミリオンアーサー』ブランドを残すということを考えると、いま『ミリオンアーサー』を知らない人や、ゲームセンターのプレイヤーたちに届けることも大事なのではと思ったんです。

「広げる」には、新しいことをやらなければいけないんです。でも、『ミリオンアーサー』ファンへのおもてなしも絶対に欠かしてはいけないところだと思っていて、登場させるキャラクターにはみんな、最大限の力を注いでいます。

――『アルブラ』の第一回全国大会「血聖大戦2018」を見に行きました。この大会はスマートフォン版『ミリオンアーサー』シリーズを中心としたイベント「御祭性ミリオンアーサー」の中で開催されたのですが、会場では本作を遊んでいない人もたくさん『アリブラ』の大会に見入ってました。

またその逆で、大会に出場した格闘ゲーマーが『ミリオンアーサー』シリーズに興味が湧いたという方もいました。琢磨さんの思いはたぶん、いろんな人に伝わっていると思います。

琢磨 ありがとうございます。「血聖大戦2018」は開催するまで正直不安でしたね。『ミリオンアーサー』のイベントって開発と声優さんがステージでトークをしたり、企画に参加したりするものがほとんどなんです。でもそこで格闘ゲームの大会をやるということになって、白けてしまったらどうしようと心配していたりもしたんです。

でも、プレイヤーの皆さんの熱い戦いを見て、詳しい攻防がわからなくても、そこに何かを感じてくれた方が多かったように感じます。みんな、あったかいなあと思いましたね。


▲リアルイベント「御祭性ミリオンアーサー」では、多くの『ミリオンアーサー』ファンに囲まれたステージで、『アルブラ』の大会「血聖大戦2018」が行われた
 

もともと格闘ゲームは作りたかった!?

――格闘ゲームを作りたいという思いは、いつごろから持っていたのでしょうか。

琢磨 ずっと前からあるにはあったんです。けど、それにこだわっているというよりは、いつか機会がくればいいかなくらいの気持ちでした。こんなに早く機会をもらえるとは思っていなかったので、正直嬉しかったですね。

僕が東京のスクウェア・エニックスに来てすぐ、現在のチームアルカナの方々にコンタクトをとったことがあるんです。ツテもなにもないので、公式サイトのサポート窓口から「いつも楽しく遊ばせてもらっています」みたいなことを書いて、ご挨拶に伺ったんですよ。そのとき「いつか何か一緒にやりたいですね」ということを話したことがあったんです。

それがこうして数年後に実現するとは……全然思わなかったですね。スクウェア・エニックスって格闘ゲームを随分と長いあいだ出していませんし、2Dとなると初といっていいくらいのものですから。

――2D格闘ゲームを作るという企画を提案したとき、周囲はどんな反応をしていたのでしょうか。

琢磨 それが本当にすんなり作らせてもらえることになりました。好意的な反応もたくさんもらって、僕以外にも格闘ゲームを好きな人、好きだった人って、随分社内にいるんだなとわかって、嬉しかったですね。

――『ミリオンアーサー』シリーズは、どちらかというと携帯ハードやスマホで遊ぶカジュアルなRPGです。格闘ゲームでいうところの、通常技、必殺技などのベースになる素材はどの程度あったのでしょうか。

琢磨 『アルブラ』の技には、オリジナルの技も多いですね。やはり、アクションがメインになるので、固有技をたくさんつける必要があります。

ただ、アーケード版『アルブラ』からいるメインキャラクターには、表に出ていないような設定はたくさんあったんですよ。盗賊のワイヤーショットとかはまさにそれですね。新規のモーションが多いことは間違いないんですが、それを作るだけの材料はあったという印象です。

『聖剣伝説3』とのコラボキャラクターである異界型リースなどは、SFC時代の設定なんかを掘り起こしてきて技を作りました。

このあたりの、キャラクターのらしさを出すというバランス感覚は、チームアルカナさんが本当に優れていて、僕は『ミリアサ』チームとして監修する立場なんですが、「これ、いいっすね」と感動することが多かったです(笑)。


▲盗賊アーサーの空中移動は、原作用の設定として存在していたものから作り出された

 

『アルブラ』の物語について

――本作のストーリーとしては、二人のオリジナル主人公、二刀アーサーと居合アーサーを軸にした作品となっています。オリジナル主人公を設けた意図などをお聞かせください。

琢磨 『ミリオンアーサー』シリーズの既存キャラクターたちを中心にまとめることも検討したのですが、それだとオールスターゲームという見え方が強くなってしまうんですよね。

この作品の目的はやはり『ミリオンアーサー』に触れてもらう面を広げることですから、新しい主人公で、新しい物語を描くことにしたんです。

シナリオについては鎌池和馬先生に監修してもらっています。「格闘ゲームを作りたいと思います。新しい主人公でいく予定です」とお伝えしたら、いくつかアイディアをいただいて、それを元にシナリオライターが物語を作ってくれました。

格闘ゲームはキャラクター同士が戦う理由を作らないといけないので、定番の流れもあるのですが、読み応えのあるものになっていますよ。


▲PS4版のメニュー画面には、二刀アーサー(右)と、居合アーサー(左)が。このメニュー画面から、追加要素がさまざまに遊べるようになっている。新ストーリーモード”EPISODE OF ARCANA BLOOD”にも注目
 

――家庭用ゲーム機版では、アーケード版の物語のつづきが見られるんですよね。家庭用ならではのストーリーモード”EPISODE OF ARCANA BLOOD”の見どころをお聞かせください。

琢磨 『アルブラ』で巻き起こる今回の事件にひと区切りつける物語となっています。あとは戦うだけではなく、日常パートの描写も少し入れてもらいました。二刀アーサーや居合アーサーが、この世界でどう過ごしているのかというのが垣間見れると思います。

『アルブラ』の世界は、『ミリオンアーサー』シリーズから地続きのものになっていて、『拡散性ミリオンアーサー』や『乖離性ミリオンアーサー』のキャラクターたちは、お互いの存在を認識していたりするんです。「あっ、あのアーサーだ」みたいなやりとりも、ストーリーの中にあるので、こちらも楽しんでもらえると嬉しいですね。

――本作に登場するゼクス・ジークフリードは、開発中止になった幻のゲーム『デッキメイクミリオンアーサー』のキャラクターですよね。彼の物語は、今作でどれくらい明かされるのでしょうか。

琢磨 彼のひととなりというのは感じてもらえるのではと思っています。アーサーたちの力に興味があって、どうやら悪いやつではないらしいという(笑)。

じつは『デッキメイクミリオンアーサー』のシナリオは、ほとんど完成していたんですよ。『ミリオンアーサー』の物語は、コミカルとシリアス、両面で評価をいただいていると思っているんですが、ゼクスの物語はシリアス寄りのものなんですね。なので、そういう要素をちょっと出したいなと思って入れてもらった部分はあります。

――『デッキメイクミリオンアーサー』の幻のシナリオ、ぜひ読んでみたいです(笑)。

琢磨 僕もお見せしたいです(笑)。公式サイトで公開しようかとも考えたんですよ。でも、まだその時ではないなと思ってしまって(笑)。あわよくばもう一度作れないかなという気持ちがあるんです。ゲームとしてではなく、何かの物語の中に落とし込むことも可能ですしね。


▲幻のゲーム『デッキメイクミリオンアーサー』からの登場となるゼクス・ジークフリード(右)と、家庭用版からの新キャラクターとなる山猫アーサー(左)
 

PS4版から初登場の3キャラについて

――家庭用ゲーム機版からの新キャラクターについて話を聞かせてください。まずは、山猫アーサー。彼女はどのような経緯でプレイアブルキャラクターに追加したのでしょうか。

琢磨 『叛逆性ミリオンアーサー』から誰か出したいとは思っていて、そこで人気を予測しつつ、あとはバトルスタイルで選びました。重火器を使うキャラクターというのは『アルブラ』にはいませんでしたから。

とはいえ、近距離戦もこなせるようにしているので、山猫アーサーはかなり動きの幅の広いキャラクターになっています。ちなみに山猫アーサーは、絶対王剣の演出が全キャラ中一番長くなってしまったんですが、これは贔屓というわけではないです。彼女の設定を描き切るためにこれだけの尺が必要だったんです。と、いうことでお願いします(笑)。

――『LORD of VERMILION IV』からは、咲山小梅が登場しています。彼女についてはいかがでしょうか。

琢磨 このキャラクターを登場させた経緯というのは、社内のアーケード仲間なので、何か一緒にやりたかったからです。コラボの話が出たのは『LORD of VERMILION IV』がまだ出ていないころだったんですが、こういうキャラクターもいるよと見せてもらったのが小梅でした。

小梅は原作の7枚デッキという設定を活かして、7つの技を持たせています。また、『LORD of VERMILION』では使い魔を召喚するのにマナというコストを必要とするのですが、その点を意識して低コストやら高コストの使い魔までバランスよく選びました。

そのうえさらに、『LORD of VERMILION』由来の特殊な操作とかもいれたらどうだろうと思っていたんですが、複雑になりそうなのでやめました(笑)。スマッシュとか(笑)。

――スマッシュは、カードを独特の操作で動かすことですよね(笑)。使い魔が攻撃したあとに、レバーをすばやく入れるみたいな要素があったらと考えると、とても難しそうです。SNKさんとのコラボになる八神庵についてはいかがでしょうか。

琢磨 コラボの経緯については、SNKさんと「何かできたらいいですね」と言っていたのが実現した形ですね。『SNKヒロインズ』には、盗賊アーサーが出張しています。

八神庵は歴史ある格闘ゲームのキャラクターなので、扱う側として緊張はしたのですが、元の動きが完成されているので、それを活かすよう落とし込んでいきました。

見た目についても、庵らしさというのをかなり大事にしたんです。『アルブラ』のキャラクターは、ちょっとデフォルメされた等身になっているのですが、庵は原作のものにかなり近づけて、八等身っぽくしました。

ちなみに、三人の新キャラと山猫アーサーのサポート妖精であクーピーは、『アルブラ』のためにボイスを録っています。庵は原作にあるボイス中心で録りなおしているんですが、サポートの呼び出しなどで『アルブラ』オリジナルのものも入っています。

ラジオに投稿するほどKOTOKOさんのファンだった!

――題歌については、KOTOKOさんが担当されていますが、アーティストを選んだ経緯についてお聞かせください

琢磨 『ミリオンアーサー』の世界観にあった歌というのを考えたときに、KOTOKOさんならきっと素晴らしいものを歌ってくれると思ったからですね。僕自身がKOTOKOさんの大ファンということも大きいんです。ラジオに、リスナーとしてお便りを書いていたくらいなんです(笑)。

ただ、いろいろと普段から聞かせていただいているからこそ、その魅力がゲームの中でも活きるということに確信が持てたんです。じつは……KOTOKOさんには『デッキメイクミリオンアーサー』でも主題歌をお願いしたんですが、残念ながらこのゲームはさきほどもお話したとおり開発中止になってしまったんです。

そのときご迷惑をおかけしたということもあって、今回再度チャンスをいただきたいとお願いしたんです。


――『ミリオンアーサー』にも『アルブラ』の闘いの雰囲気にも、とてもあっていますよね。

琢磨 詞のほうはKOTOKOさんにシナリオをお渡しして、書いてもらったんですよ。物語を知った後で聞くと、より深みが増して聞こえると思います。

作曲は齋藤真也さんにお願いしました。斎藤さんも『デッキメイクミリオンアーサー』の主題歌をお願いしていた方なので、同じクリエイターさんで曲を作っていただきたかったんです。開発中止でご迷惑をおかけしたことは消えませんが、もう一度という思いはずっとあったので。

――主題歌のフルコーラス版はゲーム内では聞けませんが、今後発売の予定などはあるのでしょうか。

琢磨 どこかでフルコーラスを聞いていただける機会があればとは思っていますが、今のところ未定です。大事な曲なので、ぜひ何か機会を設けたいですね。

――いろいろと貴重はお話をありがとうございました。最後に、読者へメッセージをお願いします。

琢磨 『アルブラ』、やっと家庭用を皆さんへお届けできるようになりました。格闘ゲームは、いろいろなことが少しずつできるようになるジャンルなので、上達の楽しみが細かくあるんです。必殺技ができるようになって、連続技ができるようになって……。そういった小さい喜びをぜひ体験してみてください。

アーケード版からやっている方、ガチの格闘ゲーマーの方はバチバチ遊んでもらえると嬉しいですが、初心者さんを見かけたら優しくしてあげてください。

そして『ミリオンアーサー』ファンの方、今年はいろいろと『ミリオンアーサー』に関連するタイトルがでましたが、『アルブラ』もそのほかの作品に関わっているスタッフも、『ミリオンアーサー』の世界を広げたい気持ちなので、ファンと同じ未来を観ているつもりです。我々を信じて遊んでもらえると嬉しいです。


【新キャラ絵コンテギャラリー】

■山猫アーサー


▲山猫アーサー 超必殺技


▲山猫アーサー 因子覚醒
 


▲山猫アーサー 勝利演出その1


▲山猫アーサー 勝利演出その2


 

■咲山小梅


▲咲山小梅 しゃがみ属性攻撃


▲咲山小梅 必殺技


▲咲山小梅 極必殺技


▲咲山小梅 限界突破


▲咲山小梅 勝利演出その1

 


▲咲山小梅 勝利演出その2

 

■八神庵


▲八神庵 しゃがみ強攻撃


▲八神庵 ジャンプ強攻撃


▲八神庵 必殺技


▲八神庵 超必殺技


▲八神庵 勝利演出


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PS4版『ミリオンアーサー アルカナブラッド』公式サイト

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