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【ゲームレビュー】ゲームは途中でやめたらもったいないと『夏色ハイスクル☆青春白書 ~転校初日の(略)』が教えてくれた【週末ゲーム特集】

著者:ゲーム★マニアックス編集部

ゲーム★マニアックスで新たに設けるレビューコーナーの第一回を書くことになった、ライターの浅葉たいがです。ちなみに、白羽の矢が立つという言葉には、大勢の対象の中から犠牲者として選びだされるという意味があるとか。まさに今の状況にふさわしい言葉なのかもしれない。


お題としては「何でもいいですよ」とのことだったので、その言葉どおりに受けとめ、今回は『夏色ハイスクル★青春白書〜転校初日のオレが幼馴染と再会したら報道部員にされていて激写少年の日々はスクープ大連発でイガイとモテモテなのに何故かマイメモリーはパンツ写真ばっかりという現実と向き合いながら考えるひと夏の島の学園生活と赤裸々な恋の行方。〜』(以下『夏色ハイスクル』)というタイトルのレビューを書くことにした。

 

 

みんなはディースリー・パブリッシャーというメーカーにどんなイメージを持っているだろうか。僕は、積極的にソフトをリリースし続ける気鋭のメーカーかつ「バカゲー」というジャンルにおいては、他のメーカーの追随を許さないメーカーだと認識している。

成長要素に胸が大きくなるという謎の要素を盛り込んだローグライクRPG『オメガラビリンスZ』、ゾンビと迫真の銃撃戦をしているはずが気が付けば女の子の服が破れて下着一枚になってしまったりするシューター『SG/ZH School Girl/Zombie Hunter』、PSVRが発表されるや否や「VR、私、気になります」の勢いで発表した『しあわせ荘の管理人さん。』(結局VR対応は一部のみとなった、エロすぎたのかと邪推している)とか、素面で企画書を書いたとは思えないぶっ飛んだタイトルを次々と放っている。

そんなバカゲーのプロとも言えるメーカーの真髄が見られるタイトルこそが、この『夏色ハイスクル』だ。

僕は紆余曲折あり、このゲームのことが大好きになりました。そのバカゲーっぷりは、オープンワールド学園恋愛アドベンチャーという、本作のジャンル名を見れば一目瞭然。

本作のジャンル名に嘘偽りはなく、戦闘こそないものの、クエストに励んだり、金策をしたり、女の子の写真をとったり、釣りをしたり、何かありそうでないところまで自転車で遠出してみたり、いろいろなことができる。

攻略対象でもないモブキャラクターにも好感度のようなものが設定されていたりするし、主人公のキャラクタークリエイトや、ヒロインの衣装などは、やたらバリエーション豊か。この時点で、本作にはクリエイターの異常な情熱が注がれていることがわかる。

もちろん、全世界で1000万本売れるようなソフトではないと思うので、海外のオープンワールドゲームと比較するとアレだが、さまざまな制限の中で何か成し遂げてやるぜという意識はひしひしと感じられるのは間違いない。

ただ、作り手のやる気とプレイヤーが感じる面白さというのはまったく別で、僕はこのゲームを数時間プレイして最初はがっくりきてしまった。

恋愛アドベンチャーの一番の目的は、お目当てのヒロインとの恋愛を観ることという人も多いだろう。僕もそう考えているゲーマーのひとりで、一週目のプレイはパッケージイラストにも顔をだしている「三日月めぐちゃん」の攻略に夢中だった。

ひたすらめぐちゃんを追いかけ、イベント発生ポイントへと走り、好感度があがりそうなことはなんでもこなした。結果としてエンディングを迎えることができたけれど、そこで一度折れそうになった。このゲームはもしやちょっとアレなゲームなのでは…という疑念が、頭の中で広がっていった。

ひとりのヒロインをクリアするのに10時間も探索を続けるゲームはなかなかないし、イベントをざっくりとスキップできる機能もない。オープンワールドのユーザーインターフェースというのは「共通パート」のようなものがあるギャルゲーにはとにかく不向きだと痛感した。そのうえヒロインたちとの恋愛模様はお約束的な展開も多く、エンディングは淡泊だった。

しかし、僕はプレイすることをやめなかった。早いタイミングで「ちょといまいち…」と決めつけてしまうと、そのゲームの面白い部分に触れないまま終わってしまうことも多い。そして何より、すぐやめてしまうと元がとれない。

そう考え、本作ではトロフィーコンプリートを目指すことにした。トロフィーには開発者がプレイヤーに体験してほしいことが詰まっていることが多いのだ(もちろん、それがすれ違いである場合も多い)。


▲ヒロインの個別エンディングはあっさりとしている。ムービー付きのイベントのようなものはない
 

所持金を100万にする、写真を100枚撮る、10回補導される。トロフィーコンプリートの要素をさまざまに達成していき、すべてのヒロインのエンディングも見終えた。この時点においても、まだ僕はこのゲームを疑っていた。

あとは、最後に残した「理事長エンド」「2年B組エンド」の達成をおえれば、このゲームに一区切りをつけることができる。ヒロインの個別ルートとは違って、この2つのルートはきっとおまけみたいなものだろうと思っていた。そしてそれは大きな間違いであり、嬉しい誤算だった。


▲学校の「理事長」にもルートが用意されている
 

「理事長エンド」も「2年B組エンド」も、異様なルートだった。理事長ルートは、ギャグテイストも強めなものの、主人公が大人に認められる過程が描かれていた。2年B組ルートでは、クラスメイトたちと親交を深め、後に訪れる別れの時に、みんなが見送りにきてくれるというものだ。

両ルートともに、ヒロインのルートよりも明らかにやることが多く、「クエスト」という頼まれごとが次々に発生する。オープンワールドならではの、自由度と説明不足が織りなす数々のクエストはとても難解だったが、だからこそ達成感に満ちていた。今まで作業だと思っていた要素に、ゲームの物語が意味を与えてくれた。

僕は青春を疾走すべく、これらのクエストを次々とこなしていった。なんのためにあるかわからなかった要素の数々が、青春を謳歌するという目的のもとに、線でつながれたように集まってくる。

それまでまったくといって変えなかった主人公の外見をいろいろにいじり、攻略対象ヒロインではないクラスメイトたちの好感度を上げたり、時にはパンチラ写真を撮ったりした。

そしてプラチナトロフィー取得とともに、コントローラーを置いたときは、ここ数年ない達成感に包まれていた。このゲームは、ほかのどのゲームとも違う青春を、僕にもたらしてくれた。バカゲーにも関わらずだ。これはもう「神ゲー」でもいいんじゃないかと思っている。

ユーザーインターフェースやテンポ、マップこそ作ったもののイベントなどがスカスカに感じる一部地域など、他の作品との比較で本作を評価するなら、残念と言わざるを得ない部分も多いが、そうした弱点をチャラにできるほど、本作の青春は強烈だ。

それを感じるのが、ヒロインたちとの交流ではないあたりもひねくれているが、このゲームはきっと狙ってここにすべてを詰め込んできたのだろう。

皆様も、もうやめようかな…と感じる作品があっても、あきらめずこれでもかともっと遊んでみてほしい。新しい発見や評価が裏返るといったことがあるかもしれません。また、僕にとっての神ゲーが誰かの神ゲーであるとは限らないが、この記事を読んで本作に興味を持ってくれたプレイヤーがいれば幸いだ。

ちなみに、僕がこのゲームを遊んでいた時代から、少しだけゲームがアップデートされている。本作のゲームモードには「フリーモード」という、作中のキャラクターにいろいろなポーズや格好をさせて写真をとれる機能があるのだが、これはあまりにもプレイヤーたちの煩悩をくすぐりすぎたのか、あまりにもエロスな構図のスクリーンショットがネット上に放たれまくった結果、シェア機能が削除。キャラクターを配置する際も、密着状態にできなくなるという制限が加えられた。

ここで自由に煩悩を解放できるのも本作の良きところだったので、興味のある方はアップデートせずに本作を遊んでみるのもいいかもしれない。ついついやりすぎてしまったお茶目さも、このゲームの魅力だ。


▲本作のフリーモードの自由さは、アップデートしてもほどほどに健在
 

このコーナーでは、自分が好きになった作品を正直に書いていこうと思って、今回はこのタイトルを選ばせてもらった。本作の主題歌『夏色バタフライ』はとても良い。個人的には、ギャルゲーソングの中でも屈指の良曲。こちらも興味のある方は、ぜひチェックしてみてほしい。

※以下の公式PVは、楽曲の中盤以降はネタ動画になっています。製品版では、ちゃんとしたフルコーラスを聞くことができます。


文●浅葉たいが

『夏色ハイスクル★青春白書』公式サイト

©D3 PUBLISHER

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